WACC計算に必須!エクイティリスクプレミアム(ERP)の推定4大手法を完全解説

May 2 / ザ・モデラズ

Equity Risk Premium(ERP)とは?

Equity Risk Premium(ERP)とは、投資家が株式市場に投資する際に求める追加収益率を意味し、無リスク資産(例えば、国債)に対する追加収益率です。株式はリスクが高いため、投資家はより高い期待収益を要求し、この追加収益がERPとして現れます。

ERPを計算する方法はいくつかあります:


1.歴史的アプローチ(Historical Approach)


この方法は、株式市場の過去の平均収益率と無リスク金利を長期間(通常は数十年)比較する方法です。

計算式:ERP = 平均市場収益率 - リスクフリー金利


例えば、S&P 500のような株式指数の過去平均年平均収益率が10%、長期国債の平均収益率が3%であれば、ERPは7%になります。


長所:シンプルで広く使われています。

短所:過去のパフォーマンスが将来の期待を予測できるという仮定が正確でない可能性があります。


2.インプライド・エクイティ・リスク・プレミアム (Implied Equity Risk Premium, Forward-Looking)


このアプローチは、現在の市場状況と予想される将来のキャッシュフロー(配当、成長など)に基づいてERPを計算します。

方法
:配当割引モデル(DDM)や利益成長モデルなどのモデルを使用して市場の予想収益率を推定した後、現在の無リスク金利を差し引きます。

例えば、予想市場収益率が8%で、現在の無リスク金利が2%の場合、インプライドERPは6%になります。

:現在の市場状況と将来の期待を反映します。
短所:将来の成長率に対する仮定が不確実な場合があります。


3.調査アプローチ (Survey-Based Approach)


この方法は、金融専門家や機関に市場状況に基づいてERPを推定するよう依頼するもので、多くの金融機関では、エコノミスト、アナリスト、ファンドマネージャーを対象に定期的なアンケートを実施し、ERPの推定値を得ています。


長所:市場の集合的な意見を反映します。

短所:主観的であり、調査対象グループによって結果が異なる場合があります。


4.国別リスク調整 (Country Risk Adjustment)


特定の国に対するERPを計算する際、その国の経済リスクを反映してERPを調整することができます。

方法
:基本ERP(例えば、米国のERP)に国別リスクプレミアムを追加します。国別リスクプレミアムは、主にその国の信用スプレッド(債券利回りまたはCDSスプレッド)に基づいています。

計算式は
ERP(国) = Base ERP + Country Risk Premium ERP

例えば、米国のERPが5%、ブラジルのカントリーリスクプレミアムが3%であれば、ブラジルのERPは8%になります。

長所: 国際投資家が国別リスクを考慮する際に便利です。
短所:正確な国別リスク評価に依存します。


結論


Equity Risk Premiumは、過去の平均値を使用して単純に推定するヒストリカル・アプローチと、現在の市場状況を反映したインプライド・アプローチが主に使用されます。最終的には、分析の目的や文脈に応じて様々な方法を使用し、場合によっては複数の方法を組み合わせてよりバランスの取れた推定値を得ることもあります。

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