分解して見える本当の価値!SOTPバリュエーション入門

Jun 17 / ザ・モデラズ

SOTP(Sum of the Parts)バリュエーションとは何か、そしていつ使われるのか?

Sum-of-the-Parts(SOTP)バリュエーションとは、企業の各事業部門や資産を最も適切な手法で個別に評価し、それらの価値を合算することで、企業全体の価値を推定する方法です。GE、SoftBank、Pfizerのように多様な事業部を保有していたり、数多くの子会社を評価しなければならない場合、あるいは重要なパイプライン資産を持っており、単一の手法ではその価値を捉えにくい企業に特に有効です。


また、複雑な持株会社構造、プライベート・エクイティのポートフォリオ、M&Aの状況などにおいて、事業を分解することで隠れた(あるいは将来的に実現可能な)価値を明らかにするためによく使われます。

SOTPが使用される一般的なケースは以下の通りです。

  • 企業が小売、ソフトウェア、製造など、異なる部門や市場で事業を展開している複数の事業部門を保有しており、それぞれの部門ごとに異なるバリュエーション前提や比較対象が必要な場合、SOTPが使用されます。例えば、GEの場合、航空、ヘルスケア、エネルギー事業それぞれに対して個別の評価手法が必要とされることがあります。


  • 各事業部門が、独立した財務分析が可能な規模を持つ子会社を保有している持株会社(ホールディングス)や、事業の多角化が進んだコングロマリット企業(Conglomerate)の場合に使用されます。例えば、SoftBankを評価する際には、ARM、Alibaba、通信事業など主要な保有株式を個別に評価するケースが多く見られます。


  • 企業がバイオテックや製薬業界のようにパイプライン中心の産業で活動しており、それぞれの資産(例:新薬候補)が固有のリスク水準、開発スケジュール、潜在的価値を有しているため、個別の評価が必要な場合に使用されます。例えば、Pfizerでは抗がん剤、ワクチン、抗ウイルス治療薬などのパイプライン資産ごとに、異なるキャッシュフロー予測に基づいて評価することができます。

    このようなケースでは、特に単一のバリュエーション手法だけでは正確な価値を算出するのが難しい場合が多いです。そのような状況でSOTPは、各事業部門をDCF、Trading Comps、Transaction Compsなど、最適な手法で個別に評価した上で、それらを合算して企業全体の企業価値(Enterprise Value)を算出する手法として活用されます。

    最後に、この手法は多数の事業ラインを持つ大企業だけでなく、多様なポートフォリオ企業を運用するプライベート・エクイティ(PEファンド)にも適用されます。また、事業部門をスピンオフ(分社化)または売却(ディベスチャー、Divestiture)する際に、統合状態のまま維持するよりも価値が高くなるかどうかを判断するためのM&Aの局面でも非常に有用です。

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