現金及び現金同等物とは?企業の安全網を理解する

May 2 / ザ・モデラズ

現金及び現金同等物(Cash & Equivalents)とは?

現金及び現金同等物は、企業の貸借対照表(Balance Sheet)に含まれる項目であり、次のものを含みます。


  - 現金(Cash):現金通貨、当座預金口座(Checking Accounts)、即座に使用できる資金

  - 現金同等物(Equivalents):流動性が高くリスクが低い短期投資で、通常は満期が3か月以内の資産


これらの資産は「流動資産(Current Assets)」として分類され、1年以内に現金化または使用することができ、債務の返済や運営資金として活用されます。


現金及び現金同等物の構成要素


1. 現金(Cash)

  - 保有している現金(例:小口現金)

  - 当座預金および普通預金口座(Savings Accounts)の残高

  - いつでも引き出せる要求払預金(Demand Deposits)


2. 現金同等物(Cash Equivalents)

  - 財務省証券(Treasury Bills):政府が発行する短期債務で、通常満期は90日未満

  - コマーシャル・ペーパー(Commercial Paper):信用度の高い企業が発行する短期約束手形

  - マネーマーケットファンド(Money Market Funds):短期の高品質債券に投資する金融商品

  - 譲渡性預金証書(Certificates of Deposit, CDs):満期が3か月以内の固定金利短期預金


現金同等物
として認められるための3つの基準:

  - 短期満期(Short-Term Maturity):満期が90日以内

  - 高い流動性(High Liquidity):容易に現金へ転換可能

  - 低リスク(Low Risk):価値変動リスクが最小限


現金及び現金同等物の実質的な重要性

1. 流動性管理(Liquidity Management)

現金及び現金同等物は、企業が即時の財務義務を履行するための第一の防衛線です。高い残高は短期債務を容易に返済できることを示し、低い残高は流動性問題の潜在的な兆候となります。


2. 運営ニーズ(Operational Needs)

企業は次の目的で現金及び現金同等物を使用します。

  - 給与、賃料、公共料金などの日常的な運営費用

  - 緊急のキャッシュアウトフローへの対応


3. 財務の安定性(Financial Stability)

投資家と債権者は、企業の現金及び現金同等物を評価し、経済の停滞や突発的な支出に耐える能力を判断します。十分な現金保有は、強力な財務健全性を示唆します。


4. 戦略的機会(Strategic Opportunities)

十分な現金保有は企業に次のことを可能にします。

  - M&Aや新規プロジェクトなどの成長機会への投資

  - 自社株買い(Share Repurchase)または株主への配当金の支払い


財務分析における現金及び現金同等物の活用


1. 流動性比率(Liquidity Ratios)

流動比率(Current Ratio):

流動比率 = 流動資産(Current Assets) ÷ 流動負債(Current Liabilities)

企業が短期債務を返済できる能力を評価し、現金及び現金同等物(Cash & Equivalents)はこの比率を高める上で重要な役割を果たします。


当座比率(Quick Ratio):

当座比率 = (現金及び現金同等物 + 売掛金(Receivables)) ÷ 流動負債(Current Liabilities)

「アシッドテスト(Acid Test)」とも呼ばれ、在庫を売却せずに債務を履行する能力を測定します。


2. キャッシュフロー分析(Cash Flow Analysis)

現金及び現金同等物は、企業のキャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)分析で重要な役割を果たします。特に、「営業活動によるキャッシュフロー(Cash Flows from Operating Activities)」の項目で、主要事業が生み出すキャッシュの評価に使用されます。


現金及び現金同等物の限界


1. 必ずしも収益性を示すわけではない

現金及び現金同等物の高い残高が、必ずしも企業が高収益であることを意味するわけではありません。たとえば、それは借入金や資産売却によって得られたものかもしれません。


2. 機会費用(Opportunity Cost)

過剰な現金保有は、企業が資源を効率的に活用していない兆候であり、成長や投資の機会を逃していると見なされる可能性があります。


3. 為替リスク(Currency Risks)

多国籍企業の場合、外貨で保有している現金は為替変動により総額が影響を受けることがあります。


結論


現金及び現金同等物
は、企業の流動性、運営の安定性、財務的柔軟性を理解する上で非常に重要です。これを分析することで、利害関係者は企業が短期債務を履行し、戦略的な機会を活用できる能力を評価できます。ただし、現金及び現金同等物は企業の財務状況を評価する指標の一つにすぎず、他の指標と併せて総合的に評価することで、企業全体のパフォーマンスをより正確に理解できます。

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