加重平均資本コスト(WACC)とは?
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加重平均資本コスト(WACC)とは?
加重平均資本コスト(WACC)は、企業全体の資本コストを示す財務指標であり、負債と資本の両方を含みます。これは、企業が事業運営のために資金を調達する際、借入(負債)や株式発行(資本)による資金調達に伴う平均的なコストを反映しています。
WACCは、企業が投資によって達成すべき最低収益率(ハードルレート)を表すため、重要な指標です。これは、企業が投資家、つまり負債保有者や資本提供者を満足させるために、投資から確保すべき収益率を意味し、投資のリスクを反映します。
WACCの仕組み
WACCは、企業の資本構成に基づき、負債と資本の比率に応じて各資本源のコスト(負債コストと資本コスト)を加重平均して計算されます。この計算には、資本コスト、負債コスト、そして資本構成比率が考慮されます。
WACCの公式は以下の通りです:
WACC = (E/V) * Re + (D/V) * Rd * (1 - Tc)
ここで:
- E = 資本の市場価値
- D = 負債の市場価値
- V = 総資本の価値 (E + D)
- Re = 資本コスト
- Rd = 負債コスト
- Tc = 法人税率
各構成要素の説明:
WACCの計算例
以下の情報を持つ企業を例に考えます:
- 資本コスト (Re) = 9%
- 負債コスト (Rd) = 6%
- 法人税率 (Tc) = 30%
- 資本の市場価値 (E) = $600,000
- 負債の市場価値 (D) = $400,000
まず、総資本の価値を計算します (V):
V = E + D = $600,000 + $400,000 = $1,000,000
次に、資本と負債の比率を計算します:
- E/V = $600,000 / $1,000,000 = 0.6
- D/V = $400,000 / $1,000,000 = 0.4
最後に、WACCの公式に値を代入します:
WACC = (E/V) * Re + (D/V) * Rd * (1 - Tc)
WACC = (0.6 * 9%) + (0.4 * 6% * (1 - 0.3))
WACC = 5.4% + 1.68% = 7.08%
この場合、企業の加重平均資本コストは7.08%となります。新規プロジェクトや投資が正当化されるためには、期待収益率がこのWACCを上回る必要があります。
WACCの重要性
WACCに影響を与える要因
1.資本構成:
企業が負債と資本をどのように利用しているかによって、WACCが変動します。一般的に、負債は税制上のメリットがあるため資本より安価ですが、負債を過剰に使用すると財務リスクが増加します。
2.市場環境:
金利の変動や投資家の期待は、負債と資本のコストに影響を与えます。例えば、市場金利が上昇すると、負債コストも増加します。
3.企業固有のリスク:
企業の事業リスクや運営の安定性も、資本と負債のコストに影響します。リスクが高い企業ほど、投資家の期待収益率が高くなり、WACCも上昇します。
結論
加重平均資本コスト(WACC)は、企業が資金を調達する際のコストや、投資判断を理解するための重要な財務概念です。WACCは、企業が負債および株主を満足させるために必要な最低収益率を示します。WACCを計算することで、企業はプロジェクトの財務的な妥当性を評価し、資本構成を効果的に管理することができます。