財務モデリング - 誰が、いつ、何を、どう推定するのか?

Dec 23 / ザ・モデラズ
Write your awesome label here.

全文を表示

財務モデリングは、金融業界のあらゆる分野で活用することができます。このスライドを見ていただくと、corporateとBuy-sideがあります。corporateは常に資金の調達先を探しており、より良い条件で資金を調達したいと考えています。すなわち、ほとんどが投資を求めています。一方で、Buy-sideの投資家は常に良い企業を探し、投資先を見つけようとしています。良い投資先を求めて探し続けるのがBuy-sideの役割です。そして、その間で両者を仲介し、様々なアドバイスやコンサルティングを提供するのがSell-sideの役割です。

財務モデリングはここで挙げた、全ての分野で非常によく使われています。corporate側は、全ての社員が財務modellingを知っておく必要はありませんが、特にmodellingが必要とされるのは、まず投資チームです。M&Aチームや投資関連のチームで、corporateがBuy-Side側である場合です。次に、IRチームの方々も財務modellingを学びに来ることも多いです。3番目は財務・会計チームで、将来のplanningを行う際にmodellingのテクニックが必要となるため、財務モデリングを活用します。最後に事業企画チームです。事業企画や戦略策定の担当者の方々もmodellingを学びたいというニーズが多くあります。

Sell-SideやBuy-Sideに関しては、ほぼ全ての方にニーズがあると言えるでしょう。オフラインでの講義もよく行いますが、過去数年の受講者を見ていると、いろんな方々が参加しました。corporate側の方々はもちろんのことで、Buy-SideからもPEやVCといった一般的なBuy-Sideだけでなく、国民年金基金やアジア開発銀行などの公的機関からも多くの方が参加しました。また、個人投資家の中でも財務モデルを作成して投資を行いたいという方も多くいらっしゃいます。少し珍しいケースですが、ジムのオーナーの方もいらっしゃいました。1店舗だけでなく、フランチャイズ展開を目指し2号店、3号店、5号店と拡大したいと考えている方で、私からの確認も受けながら自分のジムに関するFinancial Modellingを行い、現在も熱心にフランチャイズを拡張しています。その他にも、オーナー企業の子孫、著名なスタートアップのCEO、芸能人など多様な方々が受講されています。

しかし、ほとんどの受講生はSell-Sideを目指しているか、もしくは関連職種で働いている方が最も多いようです。投資銀行や会計事務所、戦略コンサルティングに携わっている方々や、各企業からも多くの方々が参加しています。企業では、先ほどお話しした4つのチームからの主に参加され、Buy-Sideに携わっている方や、この分野への転職を目指してモデリングテストを準備している方々も多くいます。本当にいろんな方々がこのModelling講座を受講し、さまざまな場面で活用しています。

次に、財務モデリングが適用可能な資産について説明します。Modellingは様々な資産に対して適用が可能です。ただし、図の左側の債券については、ほとんどModellingを行う必要がありません。なぜでしょうか?おそらく主な理由として、債券という資産は将来がある程度予測できるためです。債券に投資する場合、毎年利息を受け取り、満期が来れば元金が返還されることが予測できます。このように、債権のキャッシュフローはある程度決まっています。一方、株式はどうでしょう?5年後どころか、次の四半期さえ予測が難しいのが株式です。そのため、株式に対するModellingのニーズの方がはるかに高いです。多くの人が先の未来を知りたがり、どのすれば未来が予測できるかという熱望があるからです。たとえそれが結果的に外れるとしてもです。

また、株式の中でも、どのような状況で最もモデリングのニーズが高くなると思いますか?投資額が大きいほど、将来の不確実性が高い企業であるほど、モデリングのニーズは高くなります。したがって、M&Aの状況ではモデリングが必須であり、株式市場のLong-Only FundやVenture Capitalでもモデリングを活用します。

スライドの図の中央にある資産は、中程度の不確実性を持つ物です。不動産やインフラ関連のプロジェクトなどは、株式ほどではないものの、債券よりは将来が不確実です。そのため、投資リスクや投資家の収益率もその中間となり、Modellingのニーズや難易度も債券と株式の中間程度と言えるでしょう。もちろん、Case by Caseです。

最後に、スライドの図に表示はされてないですが、財務モデリングは新製品、新市場、新事業に関する意思決定にも使われます。例えば、Appleが新しいiPhoneを発売すると想定します。発売の可否、価格設定、スペック、マーケティングに関しても、全て誰かのモデリングを基に意思決定が行われています。このように、数値に基づいた意思決定を行うことで、CEOに報告したり、株主に説明したりすることができるのです。また、新市場への参入についても同様です。例えば、日本製鉄がインド市場で新しく鉄鋼事業を始めるとします。この場合、進出の可否や進出方法などの意思決定も全てModellingを通じて行われます。新事業の場合も同様です。例えば、トヨタがハイブリッド車に注力するか、あるいはEV電池メーカーを買収し電池事業を始めるかといった意思決定も、Modellingを基に意思決定が行われます。

結論として、新製品、新市場、新事業に関する意思決定にも財務Modellingが活用されます。今回の講義での重要なメッセージは、財務Modellingは金融業界のあらゆる分野で、投資の意思決定に関わる全ての人々に活用されているということです。そして、不確実性の高い資産であればあるほど、財務Modellingが活用される機会が増え、財務Modellingの難易度も上がるということです。これをよく考えたうえで、次の講義でまた会いましょう。

財務モデリングの教科書

グローバルな専門講師から学べる Financial Modelling -
30ヵ国の受講生がオン・オフライン授業中
Write your awesome label here.
Created with