【フェルミ推定】日本のコンビニ市場規模は?(BCG面接過去問)

Apr 18 / ザ・モデラズ
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日本のコンビニ市場規模を推定する問題です。Clarifying questionはここでは不要かと思います。問題は十分に明確です。Word by wordで見ても、日本、コンビニといった全ての単語は特に理解するのに難しさはありません。どうしてもclarifyingをするのであれば、「商品売上だけではなく、ATM手数料や公共料金の支払いなども含めますか?」となるかと思います。

今回も同様に、一旦停止して少し時間を持ってから、一緒に進めていきましょう。どのようにアプローチすればよいか、十分に考えてみてください。

8つほどの異なるアプローチが可能かと思います。まず、人口ベースのアプローチが活用できます。日本の総人口からコンビニを利用する割合を考慮し、1日あたりの平均訪問回数と1回の利用あたりの平均消費額を掛け合わせて、年間の市場規模を算出する方法です。例えば、日本の人口が1億2千万人で、そのうち80%がコンビニを利用すると仮定すると、利用者数は9,600万人になります。ここに1日平均0.3回訪問し、1回あたりの消費額が1,000円とすれば、これを年間ベースで換算して市場規模が推定できます。

次に、マクロ視点からのアプローチも考えられます。日本の総GDPに対するリテール消費の割合を考慮し、その中でコンビニが占める割合を適用して、市場規模を算出する方法です。例えば、日本の年間リテール消費額が300兆円で、そのうち、コンビニが10%を占めると仮定すると、コンビニ市場規模は30兆円と推定できます。

さらに、企業の業績を活用する方法もあります。日本にはセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンといった主要なコンビニブランドが存在し、これらの年間売上を合算することで、日本全体のコンビニ市場規模が推定できます。実際の企業データをもとにしているため、信頼性が高い手法といえます。

最後に、コンビニの店舗数をもとにしたアプローチも可能です。日本の総コンビニ店舗数と1店舗あたりの年間売上を掛け合わせて市場規模を推定する方法で、さらに細かく分けて考えることもできます。例えば、日本国内のブランド別の店舗数を考慮する方法や、1店舗あたりの1日訪問客数と1人あたりの平均消費額を用いて、年間の売上を推定する方法があります。さらに、日本の、都道府県ごとのコンビニ店舗数を利用したり、日本の総面積と1店舗あたりのカバー面積を使ったりする推定方法も考えられます。加えて、商品別の1日あたりの平均販売量と、品目ごとの平均単価を掛け合わせて、年間の販売額を推定するアプローチも可能です。このように、コンビニ数に基づいたアプローチは、ミクロなデータを活用することで、より詳細な市場分析が可能になるという利点があります。さまざまなアプローチがあり、それぞれの方法を比較し、適切なデータを適用すれば、より精緻な市場規模の推定が可能となります。

この中で、面接の場面において、私たちが持っている知識や、経験を活かして、最も手軽にアプローチできる方法は、人口ベースの方法だと考えられます。もちろん、コンビニ店舗数をもとにしたアプローチも十分に試してみる価値があるでしょう。特に、面積をもとにコンビニ店舗数を推定し、店舗ごとの1日訪問客数を推定する方法は、モデラズでフェルミ推定の授業を多く受けた方であれば、比較的スムーズに進められると思います。一方、実務的にコンビニ市場規模を迅速かつ、正確に算出するのであれば、各コンビニ企業の売上を合算する方法を取るでしょう。まずは、最初の人口ベースの方法を使って、具体的に市場規模を計算してみましょう。

まず、選択したアプローチについて面接官にしっかり説明する必要があります。この方法を選んだ理由は、第一に、日本の総人口データは容易にアクセスできるため、計算がしやすいことです。推定の基礎となる数値の信頼性が高く、コンビニを利用する人口割合と、ひとり当たりの消費額を掛け合わせる方法は、非常に直感的で論理的にも妥当です。人々がどれくらいの頻度でコンビニを利用し、平均的にどれくらい消費するのかを推定すれば、市場規模が自然に導き出せるでしょう。また、コンビニの売上を直接合算する方法よりも、一般的な消費パターンが反映できるという利点もあります。さらに、個別のブランド売上を合算する方法は、実務上では市場規模を迅速かつ正確に算出するのに適していますが、面接の場で正確な売上データを暗記している人はほぼいないでしょう。結局のところ、人口ベースのアプローチは、日本の消費者全体の平均的なコンビニ利用行動を考慮するため、より安定した結果が得られると判断しました。

本格的に市場規模を計算してみましょう。日本のコンビニ市場規模を推定するために、まずコンビニ利用人口を考えてみます。現在、日本ではほぼすべての地域でコンビニへのアクセスが可能となっており、都市部から極端に離れた地域を除けば、日本の、ほぼ全人口がコンビニを利用すると仮定できます。

しかし、すべての人が同じ頻度でコンビニを訪れるわけではないため、消費パターンに基づいて、2つのグループに分けて考えてみます。最初のグループは、Heavy Users、つまりコンビニを頻繁に利用する人々です。彼らは日本の人口の50%、約6000万人と仮定します。一方、2番目のグループは、Non-Heavy Users、つまり時々コンビニを利用する人々で、残りの6000万人が該当します。各グループの1日あたりの平均訪問回数は次のように設定します。Heavy Usersは1日平均0.5回コンビニを訪れると仮定します。つまり、2日に1回程度コンビニを訪れる計算になります。一方、Non-Heavy Usersは1日平均0.2回、5日に1回程度コンビニを訪れると仮定します。これは面接官の同意を得る必要がある部分であり、計算の便宜上、選んだ数値でもあります。

では、コンビニで1回の訪問あたりに消費する金額はいくらでしょうか?1つの明確な数値を出すのが難しい場合、消費金額を何らかの方法で分解する必要があります。どのように分類するか考えてみると、コンビニでの消費金額は、訪れる目的によって異なります。そのため、訪問目的ごとに1人がコンビニで消費する金額を仮定し、最終的に1人当たり平均660円を消費するという結果を得ました。

具体的に見ると、食事目的で訪れる人は、弁当1つと飲み物1つを購入すると、1000円程度を使うでしょう。おやつ目的で訪れる人は、パンやカップラーメン、ホットドッグなどと一緒に飲み物を購入すると、500円程度になると考えました。私は喫煙者ではありませんが、タバコは大体500円程度であり、一度に1箱購入すると仮定しました。最後に、コンビニの手数料収益として、公共料金の支払いなどの手数料率は正確にはわからないため、ATMなど実際の経験から、手数料を支払った金額を参考に、100円と仮定しました。そして、それぞれの訪問目的の割合を設定し、加重平均を計算しました。その結果、660円という数字が導き出されました。

もちろん、ここには大きな前提が1つあります。それは、各消費者は1つの訪問目的のみを持つという前提です。食事目的で訪れたついでに、タバコを買ったり、公共料金を支払ったりする可能性もあります。しかし、こうしたシナリオを除外することを面接官に十分説明できれば、より説得力が持たせると思います。

結果として、日本のコンビニ市場規模は、約10兆円と推定されます。コンビニ利用者数、 コンビニの平均利用回数、1回あたりの消費金額、365日をすべて掛け合わせると、Heavy Usersは7.3兆円、Non-Heavy Usersはにてんきゅう兆円の消費となり、最終的に10.1兆円という市場規模を推定できます。少し古いデータですが、2022年時点での日本の市場規模は、実際に約11.7兆円という統計があります。私たちの計算とは若干の差がありますが、大きな違いはないようです。どこかで私たちの仮定がやや保守的だったのかもしれません。しかし、この程度の誤差であれば、十分に納得できる結果だと思います。皆さんのアプローチで計算した結果ともぜひ比較してみてください。

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