初心者でもわかる!DCFモデルが“企業価値の鍵”と言われる理由

Nov 11 / ザ・モデラズ

ディスカウントキャッシュフロー(DCF)モデルとは?

ディスカウントキャッシュフロー(DCF)モデルとは、投資の価値を評価するために、将来のキャッシュフローに基づいて資産の現在価値を推定する金融手法です。株式やプロジェクト、事業などの投資対象の価値を評価する際に広く使用されています。本質的に、DCFモデルは将来のキャッシュフローを現在の価値に割り引くことで、投資の価値があるかどうかを教えてくれます。DCFモデルの基本的な考え方は、現在の資金が将来の資金よりも価値があるということです。これは「時間価値」の概念に基づき、現在の資金が将来的により多くの利益を生み出せる可能性があるという前提を持っています。

DCFモデルを使用することで、投資家は将来のキャッシュフローが今日の価値でどの程度のものかを評価することができます。


DCFモデルの仕組み


DCFモデルを構築するためには、以下の手順を踏みます。

1.将来のキャッシュフローの予測

最初のステップは、投資によって生まれる将来のキャッシュフローを予測することです。企業の場合、今後5〜10年間の予想される収益を予測します。プロジェクトであれば、そのプロジェクトが生み出す収益やコスト削減を予測します。

例えば、ある企業が翌年に100万ドルのキャッシュフローを生み出し、その翌年には120万ドルのキャッシュフローを予想しているとしましょう。

2.割引率の選択

次に、これらの将来キャッシュフローを現在価値に調整するための割引率を選定します。割引率は通常、投資家が求める期待収益率や資本コストを表し、投資リスクが高いほど割引率も高く設定され、不確実性が反映されます。

例えば、割引率が10%であれば、投資家は年率10%の利益を期待していることを意味し、これに応じて将来キャッシュフローを割り引く必要があります。

3.現在価値の計算

各将来キャッシュフローは、割引率を使用して現在価値に割引されます。これは、将来のキャッシュフローを(1 + 割引率)で割り、将来の期間数で累乗して調整することを意味します。

例えば、2年後に100万ドルのキャッシュフローが予想され、割引率が10%である場合、現在価値は$1,000,000 / (1 + 0.10)^2 ≈ $826,000になります。

4.現在価値の合計

最後に、全ての割引されたキャッシュフローを合計し、投資資産の総現在価値を算出します。この総額と初期投資額を比較し、投資価値があるかどうかを判断します。もしキャッシュフローの現在価値が初期投資額を上回る場合、その投資は価値があると見なされます。


DCFモデルの主要な構成要素


1.フリーキャッシュフロー(FCF)
DCFモデルはフリーキャッシュフロー(Free Cash Flow)を使用します。これは企業が営業費用と設備投資をすべてカバーし、残る現金を意味します。これは投資家に還元できる現金です。

2.ターミナルバリュー(Terminal Value)
多くのDCFモデルは、予測期間後の投資価値を示すターミナルバリュー(Terminal Value)を含みます。これは一定の成長率を使用して、永久に続くキャッシュフローを推定したものです。

3.割引率
割引率は投資におけるリスクや機会費用を反映します。リスクの高い投資には、より高い割引率が適用され、その結果、将来キャッシュフローの現在価値が低く評価されます。


DCF計算例


ある会社に投資を検討していると仮定します。次のような将来のフリーキャッシュフローが予想されています:
- 1年目: $500,000
- 2年目: $600,000
- 3年目: $700,000

割引率として10%を使用します。各キャッシュフローの現在価値(PV)は以下のように計算されます:
- 1年目: $500,000 / (1 + 0.10)^1 = $454,545
- 2年目: $600,000 / (1 + 0.10)^2 = $495,868
-3年目 : $700,000 / (1 + 0.10)^3 = $526,315

総現在価値(PV)= $454,545 + $495,868 + $526,315 = $1,476,728

会社の現在価値や要求価格が$1,476,728より少ない場合、この投資は好機と考えることができます。


DCFモデルの重要性


DCFモデルは将来のキャッシュフローに基づく資産の本質的な価値を提供するため、非常に重要です。市場に基づく評価方法とは異なり、DCFアプローチは投資家の感情や市場の変動の影響を受けず、企業の基本的な財務業績に基づいています。

- 本質的価値の評価: DCFは資産が過大評価されているか過小評価されているかを判断するのに役立ちます。

- 時間価値の反映: 将来のキャッシュフローを割引して現在価値にすることで、今日の資金が将来の資金よりも多くの潜在的利益を持つことを反映しています。

- 意思決定ツール: DCFは投資家、アナリスト、企業財務の専門家が投資やプロジェクトを実施するかどうかを判断するために広く使用されています。


DCFモデルの限界


DCFモデルは強力なツールですが、いくつかの限界があります:

- 仮定に依存: DCFモデルの正確さは、将来キャッシュフローや割引率、成長率などの仮定に大きく依存します。これらの入力値の小さな変化も結果に大きな影響を与える可能性があります。

- 予測の難しさ: 特に収益が予測不可能な企業において、将来のキャッシュフローを予測することは難しいです。


結論


営業利益とEBITはどちらも重要な収益性指標ですが、それぞれ異なる目的を持っています。営業利益は会社の中核運営で収益を生み出す能力に焦点を当て、EBITは非営業項目を含む収益性の全体像を示します。この違いを理解することは、会社の財務健全性、運営効率、および全体的な収益性を分析する際に重要であり、投資家やアナリストが情報に基づいた意思決定を行うのに役立ちます。

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