コンサルタントとはどのような職業か?(vs バンカー)

Mar 25 / ザ・モデラズ
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コンサルタントとは何をする人たちなのでしょうか?実際にコンサルタントに質問してみても、明確に答えられる人は意外と少ないかもしれません。それだけ、コンサルティングをしている人自身も、この仕事を明確に定義したことがない場合が多いのではないでしょうか。私が大学生のとき、コンサルタントとは何か?という面接の質問に対して、コンサルタントは企業を治療する医者のような存在だと答えたことがあります。今振り返ってみると、間違った答えではありませんが、不完全な回答だったと感じます。

現在のコンサルタントが行っている業務を踏まえると、私が考える正しい定義はクライアントが抱えるビジネス上の課題を分析し、解決策を提示する人たちです。ここで重要なのは、「解決策を提示すること」です。企業が直面するさまざまな課題に対して、logical thinkingや構造化のスキル、ビジネス経験を活かして解決策を提供するのがコンサルタントの役割です。そこで、これから数回にわたって、コンサルティングファームの種類や主要なクライアント、コンサルティングの歴史、コンサルタントの1日、年収、転職先など、さまざまな観点からコンサルタントという職業について掘り下げていきたいと思います。

まずは、どのようなコンサルティング会社があるのかを見ていきたいと思います。コンサルティング会社は、大きく次の四つのタイプに分類できると思います。第一に、Big 3 に代表されるグローバル戦略ファーム、第二に、それ以外のグローバル戦略ファーム、第三に、会計法人を基盤とする総合コンサルティング会社、そして第四に、それぞれ独自の専門領域を基盤とする専門コンサルティング会社に区分できると思います。

説明のためにこのように分類しましたが、実際のところ、最近のトレンドを見ると、これらの役割が明確でないことが多いのも事実です。10年前までは、プロジェクトの種類ごとに、提供するコンサルティングの領域が明確に区別されていました。例えば、ある会社は戦略プロジェクトのみを進め、別の会社はオペレーションプロジェクトに特化していたかもしれません。ITソリューション関連のプロジェクトも、特定の会社のみが取り扱っていた分野だったかもしれません。しかし、現在では、事実上すべてのコンサルティング会社がそれらの関連プロジェクトを手掛けていると言っても過言ではありません。

とはいえ、大きく区分すると、第一に戦略をメインとする戦略コンサルティングファームがあり、第二に会計法人を基盤として設立され、戦略だけでなく財務アドバイザリー、広くは IT ソリューションやオペレーションプロジェクトまで総合的に手掛ける総合コンサルティング会社があります。最後に、IT、HR、公共部門など、それぞれ特定の分野に強みを持つ専門コンサルティング会社が存在します。分野はすべて異なりますが、コンサルタントとは基本的に課題を分析し、解決策を提示する人々であるため、似たようなプロセスで仕事をしています。そのため、この枠組みの中での転職も活発に行われていると言えるでしょう。

それでは、コンサルタントにプロジェクトを依頼するクライアントとは誰なのでしょうか?ここも大きく四つのカテゴリーに分けてみました。第一に、伝統的な一般企業 です。トヨタのような製造業の場合もあれば、グーグルのようなグローバルなビッグテック企業の場合もあります。また、近年ではスタートアップがクライアントになるケースも増えてきています。つまり、基本的にどのような企業でもコンサルティングのクライアントになり得るということです。第二に、投資専門会社からの依頼が増えている点が挙げられます。プライベート・エクイティファンドやベンチャーキャピタルなどがこれに該当し、大規模な投資を行う前に、コンサルタントにビジネスの独立した評価を依頼するケースが頻繁に見られます。最後に、公共部門もコンサルティングを依頼するクライアントの一つです。意外に思われるかもしれませんが、政府機関や国際機関、さらには公企業もコンサルティングを依頼するケースが多くあります。彼らもまた企業と同様にさまざまな課題を抱えているため、コンサルティングのニーズがあるのです。

では、なぜクライアントは高額なコンサルティング費用を支払ってまでコンサルタントを雇うのでしょうか?参考までに、コンサルティングのプロジェクト費用はケースバイケースですが、月単位で数千万円から数億円にまで達することも珍しくありません。企業にはすでに優秀な人材が揃っており、各業界で実際に働く人々こそ、その業界のことを最も深く理解しているはずです。それにもかかわらず、なぜわざわざ外部のコンサルタントを雇うのでしょうか?

第一に、社内に専門家が不足している場合です。これは現在の事業に関しても言えることですが、特に新規事業を展開しようとする際には、専門家が社内に不足している可能性が高いでしょう。また、時代の変化に伴い、社内に適切な専門家が存在しないこともあります。こうした場合に、コンサルティング会社が大きな助けとなります。

第二に、新しい視点や斬新な意見が必要な場合に、コンサルタントを雇うことがあります。しかし、これは言うほど簡単なことではなく、最近ではコンサルタント自身にとっても価値を生み出すのが難しい領域になってきていると考えます。20〜30年前であれば、情報の非対称性があったため、コンサルティングファームだけが持っているノウハウや独自の情報が存在していました。しかし、現代では 情報がオープンに共有される時代となり、この点での付加価値を提供するのは容易ではありません。

また、客観的な意見が必要な場合 にも、コンサルティング会社が活用されます。企業内で進むべき方向性がすでに決まっていたとしても、確信を持てないこともあるでしょう。このような場合、コンサルタントに意見を求めて最終確認を行うのです。少し斜に構えて見れば、企業が意思決定の責任を単独で負いたくないため」にコンサルタントを雇うケースもあるかもしれません。しかし、何にせよ、これもまたコンサルタントが必要とされる理由の一つです。

第四に、短期的に専門家が必要な場合にも、コンサルタントを雇うことがあります。その業務のために正社員を採用するのは難しいものの、専門家の知見が必要な場合、一時的にコンサルタントを活用するという選択肢が取られるのです。最後に、企業の危機時に、リストラや事業再編を行うためにコンサルタントを雇うケースもあります。このような場面こそ、コンサルタントが本当の意味で企業の医者のような役割を果たす例だと言えるでしょう。

今回のセッションでは、コンサルタントという職業について簡単に解説しました。一度ここで区切りをつけ、次回以降も引き続き、さまざまな角度からコンサルタントという仕事について掘り下げていきたいと思います。

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